平井卓也 ・IT/科学技術担当大臣 「社会全体のデジタル化とその先の日本」《日本メタデータ協議会 第8回オープンカンファレンス レポート》

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 平井大臣は最初から「日本のデジタル化を、政策の整備も含め推進します。」と前向きな姿勢で講演の口火を切った。

「音楽のサブスクリプション化が進んでいます。主要プレーヤーがSpotifyやAppleに変わった。いろいろなことが大きく変わってきた実感があります。※1

日本の取り組みの反省点

 平井大臣は「デジタイゼーションとデジタライゼーションを混同してしまった。」として、例を交えて、反省とそこからの巻き返しについて語ってくれた。

「デジタイゼーションはデジタル放送。アナログ放送をデジタル化し利用環境の効率化を目指しました。でもビジネスモデルはそのまま。対して、デジタライゼーションは音楽ストリーミングサービスと言えるでしょう。音楽を聞く手段をCDからクラウド経由にし、ビジネスモデルも変えたわけです。」

「マイナポータルもそうなんですが、手続きをデジタル化しただでは誰も相手にしてくれない。最初は、デジタル化すればいいだろう、見られればいいだろうという考えがあった。この設計思想から変えなければと思います。

 今後は、考え方を変え、いろいろ政府が率先して切り込んでいくつもりです。さらに、政府がやるべきところと民間の方に対応いただく役割分担をしっかり考えたい。オープンAPIなどを使って。こうしないと本当のデジタライゼーションにならないんですね。

 また、良いものができたら皆でシェアしよう、という考えを持っていただきたいです。良いものができたらシェアすることを条件に予算を考えたいですね。」※2

国自らがDXに挑戦し、民間の方々を応援する政策を目指したい

「今後は予算調達の一元化を目指したい。デジタルガバメント推進会議で協議したのですが、これから各省庁のシステムは全部内閣官房に一元化して、そこで予算要求の段階からやります。まず国のほうから始めようということです。

 そして世の中の技術開発スピードに追いつくために、発注に関しては、今までより柔軟に対応したい。今までは完成品を求めすぎていたんですね、これは反省。これからはソフトウェアの時代ですから、イメージとしてはサグラダファミリアのように、成長し続けていくものを納品してもらう時代だと思います。国自らがDXに挑戦し、民間企業を応援する政策が必要だと思っています。」

HIRAI Pitch

「デジタル時代の潮流を掴むため、鮮度の高い情報を探して、チャレンジされている若い方々中心に、話を聞く会を開いています。これがHIRAI Pitch。すでに50回以上を重ね、問題点ややるべきことが見えてきてました。

 そんななかで考えているのは、世界に通用するスタートアップの街を地方と一緒に作りたい。ニューヨークなどはコーネルテックを誘致して完全なスタートアップのエコシステムを作りました。日本も拠点を2、3箇所に集約し、国もリスクを取り、地方も覚悟していただき挑戦してほしい。」

「またPitchを通じて感じるのは、日本の若い方々はすごい、尖ってるし素晴らしいです。世界に勝負を仕掛けるような人を支援する政策を目指したいですね。Beyond Limit、Unlock Our Potential! 未来のためにも若い方々の潜在能力を解放させたいですね。」

「日本は今後、未曾有の高齢化を迎えますが、これらの難問に対し、若い方々のイノベーション力と協力して、新しい社会モデルを作ることが令和だと思います。これには、国として対応しなければならないと思います。DXは、やらなければいけません。次の時代を作る私たちのパワーの源泉です。」

第60回 HIRAI Pitchの様子(令和元年8月2日)、平井大臣のFacebookから。スタートアップ10社から大臣室でピッチを受ける。

関連する国の施策↓
※1日本の楽曲に対し英語メタデータを付与するための補助金を準備。「コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(J-ROD)」(平成30年度補正予算)
※2デジタライゼーションのためのキックオフの法律として、行政手続きを原則デジタル化するデジタルファースト法が可決。「デジタル手続法」(平成30年5月)