質疑応答/おわりに《日本メタデータ協議会 第8回オープンカンファレンス レポート》

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 講演の最後に、稲田氏、祖谷氏、田丸氏の3名に質疑応答に参加してもらった。多数の質問が寄せられたが、本レポートでは3つの問いとその解答を紹介したい。

Q1:DX時代に、学生に必要なことは? 必要なスキルはなんでしょう?

A:稲田氏「求められているのは創造力。創造力の基礎は、感性とか物事を認識する力なんですね。もう1つ重要なのはコミュニケーション力。自分の考えを相手に的確に伝えるということは共感につながりますので、コミュニケーション力は絶対必要だと思います。これらは、今までの教育とは少し違うやり方で、鍛えなければいけない。

 学生さんも、このような時代の変化に敏感で、データサイエンスの講座を開くと、どっと学生さんが集まる時代になっています。学生さんも変わってきています。」

Q2:DXを推進するときに、日本独特のメンタリティーといった意識は抹殺すべきでしょうか。日本は立ち遅れてるかもしれませんが、日本らしさにも優位性があるかと思いますが。

A:田丸氏「今、枝の剪定の技術習得に、A Iやいろいろな技術を使って取り組んでいます。枝の剪定って、技術を習得できるタイミングが年に1回しかないんですね。ミスすると取り返しがつかないという事情もあり、習得するのに10年ぐらいすぐに経っちゃうそうです。そこで果樹を3Dスキャンして、仮想世界のなかで枝を剪定し、良し悪しを判定するシステムを進めています。これなら1年ぐらいできるようになる。これはトランスフォーメーションですよね。

 今の時代のイノベーションの起こし方、は何かと考えた時に、I T、A Iは1つのツールでしかない。日本人なりの発想と捉え方によって、どう問題解決をするのか、どう実装するのかに尽きるのでは、と個人的には思っています。」

Q3:なぜDXで日本は立ち遅れているのでしょう?

A:稲田氏「DXって本当に早いから、それを外部に頼むなんてありえない。だからコードを書く人をどんどん採用することが、本質的に重要です。全員を徹底的に教育して、新しいものに変えていく。頭(ここで稲田氏、本当に頭を手で指す)から変えていくことが、すごく重要だと思います。

A:祖谷氏「手段と目的が逆になってしまっていることが、原因ではないかと思います。また非常に感じるのは、皆さん、事例が大好きってところですね。(笑)事例を目的もなく集めて、なんか分かった気になってしまう。

 そのような部分で、一歩踏み出せないところが、DXが今ひとつ進まない要素として、あるんじゃないかと思います。」

A:田丸氏「今ある製品やサービスで、どうビジネスを維持するのかではなく、新たな付加価値やイノベーションをもって、どうビジネスを成長させていくのか。

 そんなの当たり前だよ、と多くの方が思ってらっしゃると思いますが、それを本当に実践できているのか、できてないのか、するのか、しないのか、ということが、個人的には重要なポイントではないかなと思います。」

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 2時間半にわたる講演は途中、休みもなくズンズンと進行したが、4名の意識の高さゆえか講演内容の密度も「濃い」という声が、終了後のロビーで聞こえた。参加者には、ぜひ個々の立場でそれぞれのDXに向けて歩みを始めていただければ、欣快の至りだ。

特定非営利活動法人 日本メタデータ協議会

設立趣旨 ●デジタルコンテンツに関わる事業者は、重要性の高まるメタデータの普及、標準化、国際化の推進と、コンテンツの著作・制作・編集に関わるコンテンツホルダの権利を守るため関連業界が一致団結して総合的に協議し、正しい情報化社会の発展に努める責任があります。● 私達は、情報通信コンテンツ等におけるメタデータの普及啓発、標準化・国際化を推進すると共に、著作権者の権利保護に寄与することを目的として、特定非営利活動法人 日本メタデータ協議会 を設立いたしました。 http://metadata-jp.org

講演者の肩書き等は、2019年6月時点のものです。本レポートにおける、会社名、システム名、製品名は一般に各社の登録商標 または商標です。

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